「これは証拠になりますか?」という質問は、多く、伺います。
事件に関係するものならば、証拠になる可能性があります。例えば、日記も、「その当時に書いていた」という意味で、証拠になります。
問題は、その証拠を、裁判所が信じてくれるかどうかということです。
裁判は、自分の言うとおりの判決を、裁判官に書いてもらうことを目標にします。
ところが、裁判官は、その事実が起きた現場にいたわけではありません。事実認定や法律についての専門家ではありますが、そうはいっても、神様ではなく人間です。「私を信じてください。」というだけで、信じてもらえるはずもありません。
そこで、いろいろと資料を示したり、細かく説明したりして裁判官を説得することになります。
これは、自分を信じてくれない他人を説得することと同じことです。
ですから、なるべく筋道たてて説明をし、その説明に関係する資料を示すことになるわけです。もちろん、資料一つで説明がつくことは、あまりありません。少しづつ、資料を積み重ねていって、自分の説明を裏付ける必要があります。この、少しづつ積み重ねていくべき資料が、「証拠」なのです。
また、自分の説明とつじつまがあわない資料があれば、信用してもらえないことになります。その場合、「つじつまがあわないかもしれないけれど、こういう事情なんだ」と説明して、信用を取り戻す必要があります。
裁判経験のない方にとっては、このように筋道たてて説明し、関連する資料を選び、裁判所に提出していく作業が難しいようです。こういう場合、弁護士に、相談し、依頼していただければ、弁護士は依頼者の方から事情を伺って整理し、いただいた資料のなかから証拠になるものを選び出すなどして、裁判官を説得します。